Memories of the Inner Journey

第7回 父との旅行その2

つぶやきの奥にあるものがたり

なぜ八王子で乗ってくるのかわからなかったけど、
今度は、本当に二人で旅行をした。
どこに行くのかわからないまま、一人で電車になっているのはとても不安だった。
八王子駅のホームに入った時、
僕は窓から目を凝らして父の姿を探した。
いた。
今度は会えた。
乗り込んできた父は、
特に何を話すでもなく、
僕の向かい側に座った。
「ジュースは?」
「うん」
会話はそれだけだった。
旅行中もずっとそんな感じだった。
僕の前では、父はほとんどしゃべらない。
むすっとしているようにも見えて、
子どもの僕には少し怖かった。
でも、
何度も顔を見てしまう。
旅館について、
一緒に温泉に入ったのを覚えている。
からだをじろじろ見られたのを覚えている。
父と生涯でたった一度の、
二人だけの旅行だった。

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