なぜ八王子で乗ってくるのかわからなかったけど、
今度は、本当に二人で旅行をした。
どこに行くのかわからないまま、一人で電車になっているのはとても不安だった。
八王子駅のホームに入った時、
僕は窓から目を凝らして父の姿を探した。
いた。
今度は会えた。
乗り込んできた父は、
特に何を話すでもなく、
僕の向かい側に座った。
「ジュースは?」
「うん」
会話はそれだけだった。
旅行中もずっとそんな感じだった。
僕の前では、父はほとんどしゃべらない。
むすっとしているようにも見えて、
子どもの僕には少し怖かった。
でも、
何度も顔を見てしまう。
旅館について、
一緒に温泉に入ったのを覚えている。
からだをじろじろ見られたのを覚えている。
父と生涯でたった一度の、
二人だけの旅行だった。
第7回 父との旅行その2











